今年(2011)のBBCドラマ The Shadow Line. DVD購入→視聴♪
久々に見応えのあるシリアスなドラマでした。 (ちら見用ビデオがこちらに。)
主人公が黒人刑事ジョナ・ガブリエル(Chiwetel Ejiofor)ということで、ついシーズン2まで近々放映される予定の
刑事ジョン・ルーサーと比べてしまいます。 (話は全然違いますよ)
こーいう配役って、どうしてもBBCなりのQuota方式採用のように感じられてしまう私って性格悪い…と思いながら。
The Shadow Line、個人的にはジョン・ルーサーよりずっと面白かったです。 こっちは放映されないのかしら?
何しろ渋い。 いぶし銀輝く演技派の役者揃え。 こういう作品こそ天下のBBCには期待します!
スティーヴン・レイ、クリストファー・エクルストン等々。
全7話。(なぜ、ビデオは8x50"とあるのでしょうね?) 1話完結型ではなく、最初に起こった事件から、謎解きが続きます。
主人公は負傷による記憶障害に悩まされ、妻ともいろいろ問題を抱えている、真面目な男。 麻薬取引と警察の腐敗、
そしてそれを暴こうとする人間と隠ぺいする側の水面下の戦いが、メインです。
毎回、驚愕の展開があり、「えっ!ええ~っ!?」 と息を飲んでしまいました。
そしてこのような刑事ものミステリーですから、もれなく人が死にます。 これがまた、あっさりと一瞬に殺されてしまう。
大騒ぎをする間もなく一瞬で殺人シーンが終わり、殺人者の冷徹非情さに凍りつきそうになります。
でもこの殺人者は別にサイコではないのです。 百戦錬磨のギャングオヤジたちの心理戦の緊張感も目が離せません。
いったい誰が味方なのか、敵なのか…という問いかけは全くなされないのに、その瞬間が来た時にはもう、命尽きている。 「え? どうして?」…と、人間不信が増幅。 そしてやはり「まさか!」と思うどんでん返しに
(考えたら伏線はられてた気もするのですが)、最後に正義も勝ちません。
・・・救いのない暗い話ですね。
大仰なパフォーマンスの一切ない、静かに凄味のある 熟年演技派が揃ったこのドラマで、いつの間にかベテラン熟年俳優の仲間入りをしていたクリストファー・エクルストン。 いえ、まだ実年齢は40代半ばだと思うのですが、
違和感なく50前後(?)の真面目一徹、地味な男の、30年連れ添った妻への深い愛と哀しみを十二分すぎるほどに、
クールに静かに表現していて、泣かせてくれました。
ステーブン・レイは想定内ですが、(それでも恐すぎた) クリストファー・エクルストン、ここまで渋い役者さんに
成長したんだと、ちょっと感動。 何しろシャロウ・グレイヴから見ている私。
このドラマはサントラが拝借ものでなく、オリジナルスコアですが、クリストファー・エクルストン演じるJoseph Bedeに
ニック・ケイヴの ’As I Sat Sadly by Her Side' と ’No More Shall We Part" 捧げたいです。 この2曲がぴったり!
オリジナルサントラも素敵でしたけど。 彼の最後の’I love you' には、涙があふれました。
そして、平均年齢かなり高めの出演者の中で、最年少(未成年)ギャングのRatallack演じる
フレディ・フォックス(Freddie Fox) やはり男にはあまり見えない上に、誰かれ構わず色目を使い、
ウィンクを投げかけるお行儀の悪い少年。 ニンフォマニアという言葉を思い浮かべたけど、はまり過ぎ。
『三銃士』に出てるはずだけど、子供と観に行ってみようかな。 ルイ王ならしいけど、ちゃんと男にみえるのでしょうか。
マリリン(ボーイ・ジョージ話のWorried About the Boy)で男にもオカマにも見えなかったのは役のせいだけでも
なかったのね。昔のポール・ハンプシャー的な美少年。(っても21歳くらい) 何気に体つきも曲線で男っぽくない。
フレディくん、輝く若さのせいか、強面凄みのあるオヤジたちの中で、彼のまわりだけ、後光でも射しているかのように
白っぽく光ってました。(何しろお肌のハリが違いますね~。若いと) このオヤジ集団と未成年のコントラストも印象的。
しっかり倍以上の年のオヤジを出し抜き、張り合ってました。
もう一人の若手のRafe Spall、彼とフレディくんのイカレ具合は見モノです。 オヤジの冷静さとの対象なのでしょうか。
オヤジ衆といい、若手(少ないけど)といい、女性陣も真に迫っていて、いい役者ぞろいです。
また、久々にドラマの中のセリフがずっしりと心に残りました。 私はこういう暗くて思いっきり考えさせられて
しまうドラマが好きだけど…暗過ぎて一般的にはダメなのかなぁ?
でもあの『心理探偵フィッツ』がこれだけ再放送されてるくらいだから、イケそうな気もするけど。
演技派役者の好きな人は観るべきドラマです。
いつの日か、日本放映も有りと思って、黙っておきます、今は。
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