2011年10月26日水曜日

刑事ジョン・ルーサー 1話は面白いのにね。

刑事ジョン・ルーサー、再放送の第1話をなんとなく見ていました。
これ、1話は面白いのよね。 アリスとルーサーの駆け引きも。
橋の上のシーンなんていいじゃない、すっごく。 ぞくぞくするほど素敵。

ちなみに、アリスの持っていた、包丁セット(ルーサーに骨壷盗まれて、一本抜いて追っかけて行った時の包丁)
日本製だって知ってる人いたかしら? こんなの↓


Yoshikin という、メーカーのGrobalというシリーズの包丁です。日本でもデパートで扱ってますが、
日本国内より海外でのほうが有名なようです。 ウェブはこちら 
私も以前働いていた会社で、北欧の来客のために探してあげて、その存在を知りました。 良く切れますよ~。 
文化、パン切り、スライサーともっています♪  持ち手も刃もステンレスの一体型なので、継ぎ目に汚れがたまったり、
かびたりもしません。 もう、15年近く使ってます。

せっかくお揃いの包丁にも気がついたのに(笑)、2話以降、アリスが申し訳程度に、花を添える(?)かのようにしか
出てこないから、トーンダウンしてしまいます。 まぁ、それだけでもないのですが・・・。

アリスの方がずっと興味深いキャラだと思うんだけどな。
S2はもっと登場するのでしょうか?

2011年10月22日土曜日

The Shadow Line  完全に惹きこまれてしまいました。

今年(2011)のBBCドラマ The Shadow Line.  DVD購入→視聴♪
久々に見応えのあるシリアスなドラマでした。  (ちら見用ビデオがこちらに。)

主人公が黒人刑事ジョナ・ガブリエル(Chiwetel Ejiofor)ということで、ついシーズン2まで近々放映される予定の
刑事ジョン・ルーサーと比べてしまいます。 (話は全然違いますよ) 
こーいう配役って、どうしてもBBCなりのQuota方式採用のように感じられてしまう私って性格悪い…と思いながら。

The Shadow Line、個人的にはジョン・ルーサーよりずっと面白かったです。 こっちは放映されないのかしら?

何しろ渋い。 いぶし銀輝く演技派の役者揃え。 こういう作品こそ天下のBBCには期待します! 
スティーヴン・レイ、クリストファー・エクルストン等々。 
全7話。(なぜ、ビデオは8x50"とあるのでしょうね?) 1話完結型ではなく、最初に起こった事件から、謎解きが続きます。 

主人公は負傷による記憶障害に悩まされ、妻ともいろいろ問題を抱えている、真面目な男。 麻薬取引と警察の腐敗、
そしてそれを暴こうとする人間と隠ぺいする側の水面下の戦いが、メインです。 
毎回、驚愕の展開があり、「えっ!ええ~っ!?」 と息を飲んでしまいました。
そしてこのような刑事ものミステリーですから、もれなく人が死にます。 これがまた、あっさりと一瞬に殺されてしまう。 
大騒ぎをする間もなく一瞬で殺人シーンが終わり、殺人者の冷徹非情さに凍りつきそうになります。 
でもこの殺人者は別にサイコではないのです。 百戦錬磨のギャングオヤジたちの心理戦の緊張感も目が離せません。 

いったい誰が味方なのか、敵なのか…という問いかけは全くなされないのに、その瞬間が来た時にはもう、命尽きている。 「え? どうして?」…と、人間不信が増幅。 そしてやはり「まさか!」と思うどんでん返しに
(考えたら伏線はられてた気もするのですが)、最後に正義も勝ちません。

・・・救いのない暗い話ですね。

大仰なパフォーマンスの一切ない、静かに凄味のある 熟年演技派が揃ったこのドラマで、いつの間にかベテラン熟年俳優の仲間入りをしていたクリストファー・エクルストン。 いえ、まだ実年齢は40代半ばだと思うのですが、
違和感なく50前後(?)の真面目一徹、地味な男の、30年連れ添った妻への深い愛と哀しみを十二分すぎるほどに、
クールに静かに表現していて、泣かせてくれました。 

ステーブン・レイは想定内ですが、(それでも恐すぎた) クリストファー・エクルストン、ここまで渋い役者さんに
成長したんだと、ちょっと感動。 何しろシャロウ・グレイヴから見ている私。
このドラマはサントラが拝借ものでなく、オリジナルスコアですが、クリストファー・エクルストン演じるJoseph Bedeに
ニック・ケイヴの ’As I Sat Sadly by Her Side' と ’No More Shall We Part" 捧げたいです。 この2曲がぴったり! 
オリジナルサントラも素敵でしたけど。 彼の最後の’I love you' には、涙があふれました。

そして、平均年齢かなり高めの出演者の中で、最年少(未成年)ギャングのRatallack演じる
フレディ・フォックス(Freddie Fox) やはり男にはあまり見えない上に、誰かれ構わず色目を使い、
ウィンクを投げかけるお行儀の悪い少年。 ニンフォマニアという言葉を思い浮かべたけど、はまり過ぎ。

『三銃士』に出てるはずだけど、子供と観に行ってみようかな。 ルイ王ならしいけど、ちゃんと男にみえるのでしょうか。 
マリリン(ボーイ・ジョージ話のWorried About the Boy)で男にもオカマにも見えなかったのは役のせいだけでも
なかったのね。昔のポール・ハンプシャー的な美少年。(っても21歳くらい) 何気に体つきも曲線で男っぽくない。

フレディくん、輝く若さのせいか、強面凄みのあるオヤジたちの中で、彼のまわりだけ、後光でも射しているかのように
白っぽく光ってました。(何しろお肌のハリが違いますね~。若いと) このオヤジ集団と未成年のコントラストも印象的。 
しっかり倍以上の年のオヤジを出し抜き、張り合ってました。

もう一人の若手のRafe Spall、彼とフレディくんのイカレ具合は見モノです。 オヤジの冷静さとの対象なのでしょうか。 
オヤジ衆といい、若手(少ないけど)といい、女性陣も真に迫っていて、いい役者ぞろいです。

また、久々にドラマの中のセリフがずっしりと心に残りました。 私はこういう暗くて思いっきり考えさせられて
しまうドラマが好きだけど…暗過ぎて一般的にはダメなのかなぁ?

でもあの『心理探偵フィッツ』がこれだけ再放送されてるくらいだから、イケそうな気もするけど。 
演技派役者の好きな人は観るべきドラマです。

いつの日か、日本放映も有りと思って、黙っておきます、今は。

2011年10月14日金曜日

Elektrokohle  ノイバウテン 80年代最後のライヴ

anbb 来日に伴い、ブリクサ(Blixa Bargeld)  とノイバウテン(Einstuerzende Neubauten)が懐かしくって、
買い漁ってしまったDVD。  何しろ私がノイバウテン大好きだった少女時代(80年代)はネットも
Youtubeもなければ、手軽にビデオ入手なんてできなかった! 今はいいよね ♪


Elektrokohle(Von Wegen) は2009年Uli M Schueppel 制作。 
ここから20年さかのぼった1989年12月21日にノイバウテンは初めて、旧東ドイツでのライヴを行うことになる。 
そのひと月程前に壁が崩れたとはいえ、ドイツ統一はその翌年。 まだ国境があった時代だ。
メンバーはパスポートを持ち、あらかじめ取得したビザを手に東ドイツへと入国する。 
それ以前にも東でコンサートを…という話はあっても、極右やナチ扱いされたり、いろいろと政治的理由をつけられ、
実現しなかった。 彼らの旧東ドイツでの初めてのライヴに向かう珍道中を織り交ぜながら、
かつてライヴに来た観客(旧東独人)に、20年前、そして今を語らせるドキュメンタリーである。

Elektrokohleは彼らがこの旧東独初のコンサートを行った場所の名前である。
そしてクリスマス直前に行われた、この旧東独での初のライヴは、ノイバウテンの80年代最後のライヴなのだ。 
東には存在しないことにされていた、ノイバウテンの初ライヴに来た旧東独ファンに、20年後経って
当時のことを語らせるというアイデアは面白い。 仏大統領ミッテラン(当時)が東独訪問中でいきなり
謁見することになったり、その後の世の中の流れが示唆されているような珍道中。 
東独の劇作家ハイナー・ミュラーの挨拶は 「今日はスターリンの誕生日」で始まる。 
・・・ さすが、昔の東の御国だ。

DVD構成は本体ドキュメンタリー映画(英仏字幕選択できる)、オマケとして、その89年12月21日に行われた2回の
東独公演ビデオ、ノイバウテンメンバーを含む関係者への回顧インタビュー(2009)である。

この東独公演ライヴ映像が素晴らしいのだ。 昔からのノイバウテンファンなら垂涎モノだと思う。
いや、素晴らしいといってもただのVHSビデオで撮られたものなので、画質、音質とも正直良くない。 
ただ、初来日コンサートに行ったような80年代のノイバウテンファンなら、きっと涙する。 ひたすらカッコいい!

まさにこれこそ、『私の愛したノイバウテン』なのである。 

演奏は2回とも、Feurioに始まりYue-Gung と、Kollapsから、Haus der Luegeまで80年代のアルバムに
入っている曲のうちの12-15曲だ。ただのVHSビデオなので、楽屋から入場していくメンバーを追い、
そのまま舞台左側から撮ったものが大半。 これが面白い。 じっくりと誰が何を演奏しているのかが見える。 
そして彼らの迫力は半端じゃない。 観客の熱狂も。 (西も東も人間は一緒だったんだね。)

2009年の回顧インタビューでアレックス(Alexander Hacke)が、2回のコンサートは通しで全力投球で演奏する
ことになり、「若かったからできた」と話す。 初めての東独での演奏にかなり気合が入っているのは確かだ。 
会場では今は無き、スタージ(旧東独公安)が監視しているのも、凄い。

舞台設備はチャチである。 照明もただの白ライト。 演出なんてしゃれた構成もなく、彼ら自身と持ち込んだ楽器、
限られた機材のみ。

でも 私が見た数ある、彼らのライヴ映像の中でこれが一番良い。 気合いも迫力も違う。 ただただカッコいいのだ。
そして彼らはなんと一致団結しているのだろう。 

今世紀になってから見かける手サイン(バンドのコミュニケーションらしい)など、一切ないのに、ぴったり息があってる!
ライヴが真髄、本領発揮するバンドである。 とはいえ、彼らの思い入れの違いなのか。 
2回目の来日公演(大阪)演目と曲は被っているが、かなり迫力が違う。

彼らはみなそれぞれがなんでも屋である。 曲がかわれば、手持ちの楽器(またはガラクタ)を替え、なんでも演る。 
こういうプリミティヴさも私はとても好き。

2回ともLetztes Biestが始まるとき、アレックスが舞台後ろヘ行き、ギターの代わりにケミカル容器らしい、
青いポリドラムを持って戻ってくる。 この曲では彼はムフティ(FM Einheit)と一緒にポリドラムを叩くのだ。 
一回目の時はムフティと並んで座り、ブリクサの右手側にいたが、2回目は、ひとりブリクサの左手側にタンクを置き、
恐ろしく長い脚を折りたたんで正座した。 音調整のためか、彼はまるでそのままひれ伏すかのように体を前に伏せ、
ドラムに触れている。 

身長196cmの彼の、折りたたまれた脚が、胴よりもはるかに長いのにも驚くが、ポリドラムの前に
ひれ伏しているアレックスはまるで祈りでも捧げているかのよう。 
ソフトめのブリクサの声が響く、静かなメロディとともに、この祈りの姿はなんとも感動的ですらある。

そして、Ein Stuhl in der Hoelleをこんなに素晴らしいと思ったのも初めてである。
ここでは機材も人手も足りないのか、パーカッションリズムの部分を勢ぞろいで床を踏み鳴らすのだ。 
他のライヴ映像もいくつか見てるが、のちに見られる打ちならし班らしいのが仰々しい、太い棒を床に
打ちつけているものよりずっと ド迫力なのである。 またCD等のレコーディング分とは比べ物にならない程、
心を打つ音なのだ。

ノイバウテン誕生20周年記念で2000年に作られたドキュメンタリー、Seele Brenntは「リッスン・ウィズ・ペイン」と
いう名称で日本語字幕付きのものが出ているようだ。 
だけどこの2009年制作のDVDは、Youtubeで多少切れ端は見れるが、日本仕様版はなさそう。 
比較的日本でそのまま見れるUS版もないようで、Youtubeコメント欄に見れないと嘆くUSファンの書込みがあった。

でもこのライヴ映像はぜひ通しで見ることをお薦めする。

80年代のノイバウテンファンの方なら、この76分の、彼らの80年代最後でありながら、初の東独ライヴは
DVD購入してでも観る価値大アリである。 残念ながら、アマゾンJPでは出てこないので、
英アマか独アマで買うしかないけど、頑張ってみる(?)価値はあると思う。

リージョンフリーと言いつつ、PAL方式なので日本の既存プレーヤーでは怪しい。(我が家は結局マルチで再生) 
それでも少なくともN〇C等、純国産でない限り、PCでは見れるはずである。(責任は持てないけど)

正直、これのためにマルチプレーヤー買っても、いいのでは思うくらいのお薦め度である。
間違いなくノイバウテン、べストライヴ映像である。



ブリクサ+ノイバウテン関連記事はこちら Einstuerzende Neubauten

2011年10月5日水曜日

シャーロック Sherlock S2ポスター

くすくす笑ってしまいました。
BBCシャーロック S2の宣伝ポスターが出てるそうです。 (↓のリンク)
きっとAlexさんが濃い情報を載せてくださると思うので私は感想だけ ♪

http://cumberbatchweb.tumblr.com/post/11037783978/fantastic-sherlock-s%20eries-2-promotional-picture

なんかメタリックでクールな色調ですね。

ところでタイトル大文字(SHERLOCK)下のキャッチコピー2行を見てくださいな。

              THREE UNSOLVABLE CASES  
                ONE UNIQUE DETECTIVE   

とあります。 もし日本語版でも作れば、『ひとりのユニークな探偵が3つの難解事件に挑む』くらいな感じ?(笑)

ま、こんなもんだと思いますよね。フツー。
そうしたら、IMDb掲示板でさっそく、「いや、And His Blogger も加えるべき」だと…。
ジョンの事もキャッチで説明されるべきだというのです。

つまり 
              THREE UNSOLVABLE CASES
                  ONE UNIQUE DETECTIVE
                        AND HIS BLOGGER 
もしくは  
              THREE UNSOLVABLE CASES
        ONE UNIQUE DETECTIVE AND HIS BLOGGER

であるべきだと。
『一人のユニークな探偵が専任ブロガーとともに3つの難解事件に挑む』ってとこでしょうか。

いやぁ~、気持ちはすっごくわかるなぁ~。 心情だけなら全く同感かもしれません。

でもキャッチとしては2行の方がすっきりするし、そういう案が出て、入念に吟味、深く検討されても
やっぱり最終的には2行にしちゃうだろうな、誰がデザイナーでも。

なんだかみなさん、愛情深くって、微笑ましくって・・・。^^;

ちなみにUK放送が来年初めということで、その場合、来年8月まで見れない!とUS/カナダの方々が絶叫されています。

日本は・・・どうなんでしょうね。 
アメリカより先に!なんてことになったら拍手大喝采ですが。(まずないでしょうね)
BBCのDVD化のペースってどれくらいなのかなぁ?

2011年10月3日月曜日

Die Totale Therapie  ブリクサ(Blixa Bargeld) 出演作品 初見感想

うううっ・・・。 
見なきゃよかったかも・・・。 スリラーどころか、もう、ホラー映画の領域である。
ちなみにこの映画はドイツではなく、オーストリア映画であった。(1997年の作品らしい) 
マカヴェイエフとかにも共通する中欧独特と思われる、狂気がしっかりと含まれていて、恐かったよ~。 
おまけにマカヴェイエフのように笑っていいんだか悪いんだか…のような居心地の悪さどころか、思わず、
こっちが逃げだしたくなるような、ストレートに恐ろしい光景が何気に大げさでもなく、平然と流されるのだ。 
何度、「ひっ」と息を飲んだことか(特に後半)。

もうちょっと若いころなら、このくらいへっちゃらだったかもしれないが、もう限界である。
最後にはほぼ「そして誰もいなくなった」状態なのだが、いや、人がまるで、蠅たたきで叩かれるハエのようにあっさりと
殺され、息絶える。 このペース、今、別途見ているThe  Shadow Line というBBCドラマの殺害ショットに匹敵する。 
The Shadow Lineは2011年のドラマ。 ある意味、ミステリーとして、非情さを息を飲むほど効果的に演出してるなぁ…と
感心していたのだけど、先人が前世紀中にいたのか…。 いや、無関係だよね。
The Shadow Line は殺人者の冷徹非情さの効果的な演出であり、Die Totale Therapieは狂気の直球攻撃?

何しろ、あのブリクサ演じる怪しいセラピスト、ロマン・ロメロ博士 Dr. Roman Romero(マンガみたいな名前)が、
最後まで見てみれば、唯一正気で普通の人間だったかのように見える映画だ。

ブリクサはおそらく40歳くらいの頃? 普通にイイ男である。スピーチの声がとてもいい。
患者として集まってくる集団が、一見普通に悩みのある人々にしか見えない。(遊びに来てるのかみたいな参加者も)
これが実は半端じゃない闇を抱えた狂人が大半。 それも博士の死後、殺しあいが始まってやっと判明してくる。

博士死亡までは薄気味悪い、カルト集団の意味不明、見たくもない修行の様相であるが、後半はペースも恐ろしさも
倍増どころではないのだ。

そして中欧出身の監督の映画によく見られる(気がするのだが) なぞの登場人物。 
ストーリーのカギにでもなるのか、ただの通行人なのか、不明なまま画面に現れ(セリフひとつなく、
風景に溶け込んでいる)、最後まで何だったのかわからないまま終わる登場人物。
ストーリーとは無関係そうなのだが、これが、もういいようもなく気味悪かった。
ちなみにこの謎の人物はDVDカバーになっている。なので、謎の・・・でなく、実は重要人物かもしれず、
何か見落としたのか、もう一度見て確認したい気もあるのだが、2時間余りのこの映画、このホラー度でもう一度見るのは、
かなり気合を入れないとムリだ。 いや、いくつか、あれは何だったのか・・・と字幕英語のまずさだけでなく、
見落としがあるようで、見直さなきゃ落ち着かないのもあるのだ。 (字幕のまずさは古今東西同じのようである)

エンディングの恐怖感ったら、ありゃしない。 映画館の大画面なんかで見た日には、もう、数日眠れなくなりそうだ。

ここまで、そら恐ろしい狂気を、まるでとある一週間のように描いている映画として、完成度は高いと思う。
良くできた映画なのだ。 ただ、恐すぎる。うなされそう。

そして、あのブリクサに、狂人でなく(いや、狂人かもしれないが)カルトチックとはいえ、かなりフツーな、
セラピストを演じさせ、その他一見フツーそうな人が皆狂人…という、監督の演出采配にひれ伏すしかない気持である。

もう一回きちんと見てから、ちゃんとあらすじも書きとめよう。(本邦公開なぞあり得なさそうな映画だしね)

あぁ、恐かった・・・・・。 寿命が縮んだ気がする。 今日は早く寝よう。




ブリクサ+ノイバウテン関連記事はこちら Einstuerzende Neubauten

2011年10月2日日曜日

ANBB 来日コンサート (恵比寿リキッドルーム)

昨晩行ってきました。

もうずっとコンサート類からは遠ざかっていたので、こちらのリキッドルームも来るのも初めて。
今まで私が見に行ったブリクサ(Blixa Bargeld)がらみのコンサートの中で一番小さい場所でした。
ノイバウテン(Einsuerzende Neubauten)初来日だって、倉庫みたいとはいえ、もっと広かった。 
オマケにあまり人が多くないのだ。 なんかさびしいなぁ。

後方のちょっと高台になっているカウンターコーナーをゲットしたので、そこに居座ることにする。 
ステージは良く見える場所だ。 このトシになって群衆の中でもみくちゃにはなりたくないわ。

前座が1時間。長かった。8時になってようやくANBB登場。人も増えてきた。
演奏が始まっているのに、グループでしゃべっている輩がうるさい。

なので、特等席!と思ったカウンターを離れ、前へ。 26年前と違ってもみくちゃになるほど暴れる人などもおらず、
すっとほぼ最前列に入り込めた。 前に来てよかった。

久々のブリクサ! プロモで見かけるような、顔を細く見せるための(?)、髪を顔に向かってなでつけるような髪型でなく(ファンなのかその髪型をした男性もいた)、普通に後ろになでつけてあって安堵。 
最後に見た16年前はまだ多少ツンツンさせてたし、何より、スリムであった。
シックなスーツは変わらず・・・であるが、明らかに5~6サイズはアップしてる。 
きっちり締められたベストのボタンに腹回りが感じられるのが…。

眼だけが昔とそれほど変わらない表情のままな気がした。 やはり、何気にくるんであげなきゃ…感を誘う目だ。 
今や、ちょっとかわいいおっちゃん。 いや、私だって今や立派にオバサンだから、人のこと言えないんだけどさ。

30年前とは音響機材事情が全く違うのもあるが、デジタルなコンピューター管理に頼っている。 生音がなさ過ぎて、
私のように、ブリクサを見ることが目的の古いファンならともかく、ライブめぐり組にはちょっと納得のいかないライブだったかもしれない。

ブリクサの声は変わらず、昔ほどマイクにかじり付きはしないが(たぶんマイクの性能が今はずっとよいのだ)叫ぶ。 
私は彼が自分の声を楽器の一部のように叫び、音を作るのに使うのが好きなのだ。
ANBB  CD に入っていた曲は一通り披露したが、おそらくCD収録時にはピアノだったり、弦楽器だった美しい音が
すべて録音で賄われていた。オマケに音質がいまいちであった。

ブリクサが何度も相方のAlva Noto(T-1000みたい)を じとぉ~んと何か言いたげな目で見つめていた。 
どうも、音構成がブリクサが思っていたものと違っているよう?   明らかにビートのテンポの変わる場所が、
歌とずれてるのもあった。 リハーサル不足? そしてブリクサがずっと右手に持っていたiPodのような小さなものは何?

といろいろ思いながら、それでも16年ぶりのブリクサの生姿も生声もうれしい。
アンコールの最後の曲で、音が止まった時にブリクサが一言 "That was a good one!" とT-1000に向かって言った。

なんだよ~。 やっぱそれまでは外してたんじゃん! 思わず吹き出してしまった。

ブリクサはT-1000の肩を抱き、頭をなでなでしながら退場していった。 T-1000は小柄なので、すっぽりと
長身のブリクサの腕の中に納まっていた。

思わず、「今度はノイバウテンで来てよね!」とブリクサの後ろ姿に向かって叫びたい衝動にかられたが、
それはいくら何でもT-1000に失礼だと気づきやめた。

ノイバウテン初来日の頃(85年)はバブル真っただ中。 あの当時、それでもインディーズであっただろう、
ノイバウテンのコンサートにあれだけの群衆が集まった・・・ってやっぱ、時代もあったんだろな。
バンドのメンバー全部来て、わけのわからん、機材だか、ガラクタも持ち込まれていたライブであった。 
2度目の時は会場はグレードアップしていたし。

今回は何気に欧州景気の悪さと、日本の景気の悪さも反映されているかのような、かつてに比べると
かなりシケたコンサートであった。 すべてに経費節約感が感じられた。 
(チケット代は初来日時の倍のような気がするが)

太ったおっちゃんになったとはいえ、久々にブリクサ見れたのはとてもうれしかった。
30年前の『この世で最も美しい男』である。(←これ自体、いいかげん恐しい気がするけど)
もう、ほとんど勝手になつかしい友のような気分になっている。

ここまで来たら、あなたの訃報を聞くまで、近所に来たら、観に行ってやるわ…という気になった。
最前列でじっと見つめてあげるよ、最後まで。 だから、また来てよね。


ブリクサ+ノイバウテン関連記事はこちら Einstuerzende Neubauten