2014年8月17日日曜日

ナポレオン・ソロ番外編 エロティックに切ないDaydream Believer 

やっとPC買いなおしました!ずっとXPで使い物にならなくなっていたPC.
とはいえ、今回メーカー違うのを買ったら(初の日本製!) まだまだ慣れません。

気まぐれな私はやっぱ、主観に満ち溢れたわごとしか書き記せない。最近は携帯で通勤時間中にいじるだけになっていた私の直近の見つけもの。

相変わらずUNCLE(ナポレオン・ソロ)熱だけは冷めず、ヒートアップする一方。(これ、Facebookでお仲間いっぱいできてしまったのも大きい。ウン十年来の親友以上に私の動向を熟知し、声をかけてくれる姉さま兄さま方。ありがとう。愛してます。)

通勤時間が長く、終電の中で頭まわらない中で、偶然見つけてしまったUNCLE ファンフィクション。
あんまりファンフィクは興味なく、途中放棄が大半。なのに一つだけとっても気に入ってのちに検索しまくって探し当てたのが、The Puppy Love Affairというもの。 これはその後再会の苦労を学習し、携帯にブックマーク。これはとってもスイートなほっこり笑ってしまうようなお話でひまひまに読み直してました。

そして、ある日ふと思い立ったの。これを書いた方のほかの作品見てみようって。そして巡り合ったのが同じサイトにアーカイヴされていたDaydream Believer.

スイートなお話を期待してまったく想像していなかった最後に泣けました。
せつなさ度はおじいちゃま(Robert Vaughn)のThe Venetian Affair級です。
(ベネチタ事件・・・でしたけ?不思議な邦題) って言えばどれだけせつないかわかりますよね?

この話、どのファンフィクよりも(ってたいして数読んでないけど)まず萌えます。
何に萌えるかって?

あの時にまったく声を上げないイリヤ・・・というのにです。
ぞくぞくしてしまいます。

そして横文字で書かれている利点・・・なのですが、ちゃんとオリジナルのソロさん、イリヤの声でお話が進みます。特にイリヤが日本のファンフィクにありがちな少女漫画キャラになってません。
原版のマッカラムさんのまんま、低い声で話し、S1の少年のような(かつ儚げに美化された)イリヤでなく、S4の、輝かんばかりの美青年になったイリヤです。(S1→S4 一気にS2とS3飛ばしてみた日には衝撃でした)
ソロさん視線で描かれているこのお話、描写は、がっちりとソロさんより体格が良くなり、男っぽくなった(なのに艶めかしい)イリヤそのものなのです。
そしてお話がまたS4のエピの数々のシーンを彷彿とさせます。
なので、尻切れトンボだった、S4のシークエンスとして、とってもストンと来てしまうのです。

こんなに見つめ合ってちゃ、そりゃみな気づきます。


ソロさんが語る、イリヤとの最後の数日間、イリヤとはじめて関係を持った時の事、ソロさん思いっ切り舞い上がっています。
冷静な知性に強い性格、他人には無関心でちょっと傲慢。やや畏怖の念すら持ってしまうような相棒が自分とベッドを共にしているのが不思議でならない、夢ではないかと自分をツネってみたくなるソロさん。イリヤとの関係にすっかり溺れてしまっています。

ある朝、イリヤは身内に攻撃されて負傷します。若いエージェントが敵方と間違えてイリヤを
攻撃したということに収まっているのですが、二人とも実はそうではないことを知っています。
一度や二度ではないのです。イリヤはイリヤだから・・・的にされる。ロシア人で、頭が切れ、仕事ができ、
他人には無関心、そして同性愛者。
鷹揚で育ちの良いソロさんはまったく気にせず、イリヤの優秀さにほれぼれしてますが、世の中そんな人ばかりではありません。イリヤは異端なのです。

前々からうわさもあり、二人の関係はすでに周知のこととなり、ウェイバリー課長にまで苦言をいただいてしまいます。状況を改善しろ・・・と。
かつてアメリカUNCLEのNo.1だったソロさん、UNCLE北半球のトップエージェントとなり、部下だってたくさんいます。異端のイリヤと相棒以上の関係を持つソロさんへの部下たちの目も実は厳しくなってきていたのです。
もちろん、ソロさん気にしません。ウェイバリー課長の苦言だって、自分とイリヤのコンビがセクション2でベストである限り、何も起こらないさとのーてんきなものです。
でも冷静に(そしてソロさんを愛してやまない)イリヤの判断はまったくベツモノ、ソロさんのまったく予期しない決断を下してしまうのです。

そして物語はその後のソロさんの独り言、『自分はスパイだってのに、なぜ自分のこととなるとこうも何も見えないものなのだろう。思い返せば、予兆はいっぱいあったのに。自分は結局自分の見たいようにしか見ていなかったのだ。』で始まっています。

2回目に読み返した時、この最初の部分だけで涙ぐんでしまいました。
終わりを知って読むから余計にせつない。
途中のイリヤの言葉だって、声を上げないイリヤの心の悲鳴が聞こえてきそうなくらい哀しいものに思えます。(ちなみにソロさんはイリヤに声をあげさせることをライフワークと決意してました。達成前にイリヤは去ってしまいますが)

作者の方、英語圏の方だとは思いますが、その美的感性は谷崎潤一郎ばりです。
色の描写、ここに書くのははばかれるような種々の描写がとても美しい。
負傷したイリヤの半身に走る生々しい紫色の痣、バスルームの緑色のタイルの反射で青白く病的に映るイリヤの肌、イリヤの瞳と同じ色の真っ青のキルトカバー、ライトに反射して輝くさわらずにいられないシルクのようなイリヤの金髪だとかとにかくきれいなのです。
ずっと見ていたい気分にさせられます。 そう、このまま映像化してほしいと思うくらい。

イリヤのラジオから流れてくる音楽。私にはYoutubeで調べてみないとわからないのもいっぱい。 そして60年代のけだるい音楽、知ればさらに想像を掻き立てられ、エロティックに感じてしまいます。

あの、The Deep Six Affairの最後で ”We have each other."とソロさんに向かってにこにこしていたイリヤ。
きっかけは知らないけど、一歩踏み出したんだねって思ってしまいます。 ソロさんはいかに二人の体がぴったりと合わさうものか、イリヤに教えられるのです。

その他S4エピとこのお話の共通点としては・・・

★ The Master's Touch Affair
痛み止めの副作用で夢遊病患者よろしく夢うつつで(しかも上半身裸)で同僚の前に現れるイリヤ。うつむいたまま上目づかいに見上げ、焦点の合わない目でソロさんの膝にまたがり、『ナポレオン、紫の毛布はどこ?』とゆっくりと話しかけるイリヤはまさに自白剤打たれまくってらりっていたイリヤそのもの。
★ The Gurnius Affair
ソロさん曰く『コントロールフリークの相棒』イリヤはソロさんを組み敷いて愛撫してじらせます。これはで、ソロさん拷問してたNexorを彷彿とさせます。ソロさん括り付けてたあのシーンをがそのまま浮かびます。『もうもたない』ってソロさんの言うこと(考えてること)も一緒。
★ The Deep Six Affair (再び)
ふたりのむつごとのあとで、ロマンチックに(?)『君のためならなんだってやる』というソロさんに向かって『じゃぁ、晩御飯!』とベッドからソロさん押し出すイリヤはにソロさんの身代金を値切ってシレっとしていた薄情さを感じます。
★ The Prince of Darkness Affair & the Survival School Affair + etc.
シリアスなS4で何度となく『全責任は僕がとる』と言っていたイリヤ。 Deathwish というか、ひそかに死にたい願望でもあるのかと落ち着かない気持ちに何度となくさせられました。このお話で後でソロさんが思えば予兆であった、数々の言葉は初読み時に同様に落ち着かない気持ちにさせられました。
再読から、それらはイリヤの実はソロさんに内緒で一人で悩みひとりで決めてしまっているけど、本当は気付いてほしい、叫びが潜んでいるようでさらに切なさが増します。
★ The Maze Affair & the Thrush Rourette Affair
イリヤがソロさんの前から去るとき、ソロさんが目の前で殺されても顔色一つ変えず、粛々と任務を遂行していたイリヤが思いだしました。そう、きっと実はすごく努力して平静を保っているだろうイリヤ。 涙の一筋くらいこぼしたっていいのに。(イリヤの涙はとても見てみたいと思ってました)
二人の関係はただの妄想だったと言い切って、ソロさんにさよならも言わずに出ていくイリヤの冷たさに、
即席洗脳されてソロさんに銃口を向けてたイリヤが重なります。

ソロさん目線のイリヤが細部にわたるまでリアルに(ってS4の頃のマッカラムさんのままに)
美しいので思わず何度も読み返してしまいます。個人的にはモノクロS1イリヤが一番好きですが、そんなことどうでもいいくらい、素敵にビジュアルがくらくらするほど美しいのです。
ソロさんがどれほどイリヤを愛おしく思ってるかが伺えます。 

ふと同じ時間枠のイリヤ視点でのお話を読みたいと思ってしまいした。

この切ないお話にたどり着くきっかけになったスイートなThe Puppy Love Affairは主人公はソロさんの甥っ子なのですが、最後の方はイリヤ目線でのソロさんが描かれています。 
でもちょっとだけなのです。 なので欲求不満です。

作者の方にお願いしてみようかしら?
でもこれもそもそも10年以上前にかいたもので、続きは書きかけたけど1/4くらいで止まったままになってるんですって。もう書かないって。残念だわ。