『時計仕掛けのオレンジ』(1971)たぶん、20年くらい前に一度見たきり。
『博士の異常な愛情 または私はいかにして心配するのをやめて水爆を愛するようになったか』(1964)は全くの初鑑賞。
ところで配慮したつもりのキングスマン感想文 の中で、イカレ具合が『時計仕掛けのオレンジ』と似ている…と書かせてもらいました。これは全く感覚的なところでだったのですが、本日『時計仕掛けのオレンジ』も含めてキューブリック作品を観ると、改めてあれっ?えっ?って思うことがいくつか。
マシュー・ヴォーン関係の記事とかも結構読み漁ったけど、キューブリックの名前が出てくるようなのって見た記憶はありません。この二つの映画に関していえば、監督がまだ生れる前の映画です。いや、観て影響受けてたっていいんだけど、イギリスでは『時計仕掛けのオレンジ』は90年代でもまだ発禁もの、テレビで映画の中のシーンが紹介されただけで物議を醸して大騒ぎになっていたまぁ、日本での大島渚監督の『愛のコリーダ』に匹敵すると思えばいいくらいの扱いでした。つまり、見ようと思ってすんなり見れる映画ではなかったのです。
なので、その辺は誰か監督にインタビューで聞いてみてよーと叫ぶしかないのですが・・・
まず、全然覚えてなかったけど、あの威風堂々(Pomp & Circumstance) が時計仕掛けのオレンジの中でも使われていました。 政府が華々しく、新しい悪人更生プログラムの被験者を選別するシーンです。
キングスマンでは終盤近いところでフィナーレのように壮大に流れる、アレです。
ぱっと思い浮かばない方はこちらのリンクで聴いてみてください。 05:15からが両映画で使われている部分です。時計仕掛け…の方は全く覚えてなかったので驚きました。
それから、極悪主人公アレックスが押し入る作家の邸宅の鏡使いと視覚効果に、キック・アスでのマーク・ストロング演じるヤクザのボス、ダミーコ氏の自宅に添付け道場の鏡を思い出しました。
キック・アス |
時計仕掛けのオレンジ |
私、マシュー・ヴォーン監督の鏡使いはとっても好きなのです。
キック・アスのこの鏡も終盤の対戦でレッドミストの複写状態は目が覚めるほど美しい絵でした。鏡があるのとないので大きく視覚効果が違います。
キングスマンでもエグジーの心情や成長を表す一環として、鏡をのぞいているエグジーが何度となく出てくるのがとてもうまいと思っていました。レイヤーケーキもそう。
そして、2作目『博士の異常な愛情(略)』を見ているとこんなシーンが! ええーっ!これって・・・
博士の異常な愛情 Dr. Strangelove |
キングスマン Kingsman:The Secret Service |
おまけに、『博士の…』では水爆の起動装置がまぁ、アクシデントで止められない状態になってしまい、地球上が核で全滅は必須。なら、選ばれた人だけ早急に炭鉱とか地下深くに潜って半減期の100年を過ごそう、だれが新時代に残るか…云々の話になるのですが、この選ばれた人は隠れて助かりその他は全滅…てのも全く同じコンセプトですね。
『博士の…』はもう、キングスマンどころではなく、痛烈にブラック、いわゆるsatireにしても利きすぎなくらいのブラックコメディです。映画冒頭にかなりくどくどと、本作の登場人物、話は実在の人物や既に亡くなった人物とも一切関係ありません…というお断りが通常の3倍くらいの長さで延々と流れています。 その理由は映画を観終わればわかるのですが、かなりキョーレツでした。
ここまで来るともう、因縁のように思えます。だれかマシュー・ヴォーンとキューブリックの事言ってる人っていないのー?と思って両名一緒に入れてググってみました。 するとあった、ひとつだけ!
Strangeloving X-Men というタイトルで『X-Men ファーストクラス』と『博士の…』に言及したもの。2014年の記事。キングスマン公開よりも前です。
左がX-Men 右が博士の異常な愛情 (Just The Beard Talking より拝借) |
そしてこの方もググってもだれもそんなこと言ってないけど、マシュー・ヴォーンはキューブリックファンなのじゃないかと。
X-Men、この間ついに見てみたけど、やはりあまり趣味ではなかったので、気付かなかった!というより、私はもう、キングスマンの刷り込みが出来上がっちゃっていたので。
キングスマン、往年のKubrickファンのかたにもぜひ見てもらいたいですね!
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余談ですが、『博士の異常な愛情』の飛行機航空シーンで勇ましくかかっていた曲、ダイ・ハード3でジェレミー・アイアンズ率いるネオナチどものテーマでも使われたませんでした? これもかなり前に一度見たきりなのであやしいのですが、だれかご存じないでしょうか?
2015.08.08追記
↑のダイ・ハード3の件解決! 結論から言うとアタリ!でした。20年も前に一度見た切りの映画の挿入歌なんかよく覚えていたものですが、サントラ専門のブロガーさんの記事でダイ・ハードのネオナチテーマを確認。「ジョニーが凱旋する時」という曲とのことですが、これで調べたら、博士の異常な愛情もこの曲使ってるって、掲載されてました。 あーすっきり。
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