2012年10月15日月曜日

お姫さま仕様のイリヤ       0011 ナポレオン・ソロ


録画機器の都合で、S1から間を飛ばしてS4を観ることになった0011ナポレオン・ソロ。
S4は当然カラーなのだけど、おそらくデジタルリマスター化されてる(?)色鮮やかな画面がそれほど古く見えないことより、
何が驚いたって、 イリヤが随分と育ってしまっていた!

その当時の流行りだったのか、二人とも前よりやや長髪。 ソロはそれほど変わった感じはないが、イリヤはカラーになると、
輝くばかりのプラチナブロンドのさらさら髪、淡いブルーの瞳。 いっぱしの美青年に成長していたのである。 
米語はずっとなめらかになり、体格もがっちりして、ダークスーツが随分と決まるようになっていた。
アンドロギュヌス感はなくなり、男っぷりがかなり上がっている。 

それなのに・・・ 2、3回に1回くらいの頻度で、囚われのお姫様になるのだ。 何故?
それも、かなり意識してお姫様にされているよう。 だってこれ見て!

 ガス室に拘束されるイリヤ






この(←)カラーコーディネイトに、速攻で思い浮かんだのが
こちら ↓



 
いばらの城で眠るオーロラ姫


 












イリヤが囚われたと知ると、ソロはとても怖い顔になる。 殺されたら、個人的に復讐してやる…と凄んでいるのもあった。 
イリヤ救出に向かうナポレオン・ソロはこの上なく真剣なまなざしで、とてもカッコいい。

姫(イリヤ)のためなら、文字通り火の中、水の中、猛獣と素手で戦ったり、高い城壁だって登り切る。 
これはこれで、カッコ良すぎて感動。  

でもこの男前のナポレオン・ソロ演出のためだけにイリヤをお姫様にしたのだろうか?  
それなら毎回出てくる美女をあてたっていいはず。
イリヤがお姫様になると、美女たちはイリヤ奪還の助っ人でしかない。(失礼な話よねー)

まず、トップエージェントのソロと並んで名をはせる優秀なエージェントが敵方に誘拐されてばっかりなのも、どうよ? と思う。 
おまけに体格が良くなったイリヤはソロよりガタイが良くなってしまい、(前は華奢だったのにー)ソロに抱き起こされるのも、
手をひかれて歩くのも、なんかお笑いのノリになってしまうのよー! 
二人並んだうしろ姿は、イリヤの方がガッチリして横幅でかくなってる。いつの間にか・・・。

タイタニックのレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットのことを思えば、がっちりしたお姫様も有りなのかもれしない。

でもやっぱりお姫様は可憐にほっそり小柄な方が目にやさしい。

とか、いまさらどーでもいいこと(何しろもう、40年以上前のドラマだし)を思っていたら、今日見たのは逆パターンだった。

初っ端にソロが囚われていて、イリヤが救出する。(イントロだけでメインストーリーとはあまり関係ない) だけど、これが・・・大きく違うの。 同僚と一緒に拘束されたソロは身代金を要求される。 悪人の要求する機密情報(潜水艦の図面)と共に金を払いに老人が来るのだけど、実はこの老人が変装したイリヤ。

そして、イリヤはソロの身代金を半額に値切るのである。

「アンクルNo.1のエージェントだ!倍以上の金を払う奴はいくらでもいる!」と怒りだす悪人にめくらまし。 全員無事脱出。
「ラッキーだったな」と変装ひげを外しながら言うイリヤに、「オマエ、オレがアンクルNo.1のエージェントだって知っていたか?」と憮然と訊ねるソロ。
冷めた目で見つめ返すイリヤ。 相変わらず身も蓋もないヤツ。 青い瞳がイノセントにきれいなだけに、なおさら・・・。 
この差はひどいよなぁーと思う。 可笑しいんだけどね。

旧ソ連で、感情出さないように育った上の英才教育の結果だろうけど、イリヤは情緒欠陥児みたい。 

イリヤはソロが目前で殺されても平静で、ソロは死んだと報告して、任務続行。 
反面イリヤが爆発で殺られたと思ったソロの怒り狂い様の凄まじいこと! 真っ赤になって、暴れだす。 手当たり次第にモノをたたき壊し、民間人美女がいても構わず発砲。 取り押さえられたら涙目だった。 

感情を爆発させるRobert Vaughnは身震いするほどカッコ良くって、おじいちゃまってスゴイーとまた惚れ惚れ。

だけど、この余りの違いに、たまにイリヤに殺意を覚えてしまう。 薄情過ぎるわ・・・。

催眠術かけられて、ソロを殺そうとするのだって、ひどかったよー。 催眠かかったふりして逃亡するのかと思ったら、本当にかかっていた。 イリヤを見つけてホッとした顔をするソロに向かって発砲。
ソロが手先、足先とかダメージの小さいとこでも狙って撃つのかと思ったけど、一度もイリヤには銃口を向けない。 ソロは撃たれて倒れるのだけど、一顧だにしないイリヤ。
倒れたのはフリだけで、立ち去ろうとするイリヤを捕まえ素手で殴る。 接近戦だとソロが強い。
正気に返って「ナポレオン、まさか…」と言うイリヤに「あぁ、オマエはやってくれたよ」というソロの目が全然、怒ってないの! 

こういう話の展開のアクションものって他にも有りそう。 そして仲良しの相棒コンビは片方が相方を殺そうとしたことでちょっとしたケンカをするのがフツーの流れのような気がするのに。 

ソロはただイリヤが戻ったことを喜んでいて、イリヤを見る目はとっても温かくて優しい。
あまりにも優しい目にこっちが涙ぐんでしまったわ。
そもそもイリヤとソロがケンカするのは見たことがない。私が観た話の中では。(たぶんまだ半分も見てないと思うけど。) 
ソロがすごく鷹揚なので、ケンカにならない。

イリヤが実はソロに心酔してるのはわかる。情緒欠陥児なりに、心を許せる相手なんだろうな。
ムキなったりするのも、ソロにだけ。 これが可愛いからすごく好き。

イリヤの、たまに出るソロに対してのアヤしげな言動は60年代にはどう受け取られていたのだろう? そもそも吹替えには反映されていたのかな?

S4は本国でも低迷し始め、途中で終了したらしいけど、吹替え版は全部作られなかったのか、10話ちょっとで終わっていた。
でも、また最初から一巡してくれるみたい。

Complete Setがそのうち来るから、設定変えて、吹替え版録るようにしようっと。
覚えてる話があったらうれしいと思うし、子供も見るかもしれないしね。

2012年10月9日火曜日

0011 ナポレオン・ソロ The Man From U.N.C.L.E.

しばし、ぷーをすることになりました。(なんて母ひとり、子ひとりで呑気に言ってる場合じゃないのだけど)

それで、普段やれないことを今のうちにやっておこう!と思って、録画セットだけして放置していた、0011 ナポレオン・ソロを観ることにしました。 
放置中にHDが一杯になり、モノクロS1(半分くらい?)と何かを消した後に入り込んだS4(現在も放映中)の一部だけ。

とりあえず最初から、ざざっと観れば満足か・・・と思っていたはずなのにー!何を血迷ったのか、画面かじりつき状態に! 
私、60年代、70年代へのノスタルジーは全くありません。この時代の映画やTVドラマの騒々しいサントラもむしろ大の苦手。

でも、ソロ演じてる、Robert Vaughnが余りにも素敵で素敵で!!  表情豊かでホントにチャーミング。
そしてなんてカッコいいの!! 
アルビー(華麗なるペテン師たち)のチャーミングで素敵なおじいちゃまは一日にして成らず。 
昔っから素敵だったのね。(昔に見た時の記憶がほとんどないのが残念。)

お話自体は古いスパイもの。小学生が観てもOKな正義の味方と悪の組織の対決、至ってシンプル。 
特撮はちゃちいし、ストーリー展開もたいして凝ってません。 
なのに画面に張り付いてしまうなんて! それだけ、惹きこまれてしまったのです、出演者のふたりに。


Robert Vaughnって、昔ながらの、存在感だけで、画面成立させる俳優の名残なのね。
ほら、古い映画って、例えばハンフリーボガードなんかも、映画の構成やストーリーがどうっていうより、彼の存在だけでカッコよく、彼が出てるってだけでもう、不朽の名作じゃないですか。

表情から目が離せません。80近いおじいちゃまの今だって、とてもチャーミング。 ペテン師たちの中で誰が一番好きって聞かれたら、絶対私はアルビーって答える。 優しいチャーミングなおじいちゃま。 なのに真剣な目で人を見据えると、それだけで画面が引き締まる。 これが、ぞくっとするほどカッコいい。(おじいちゃまなのにー)

若いころのおじいちゃま、ナポレオン・ソロもそのまんま。 目がとっても表情豊か。お顔に魅入ってしまいます。

そして「あー、ガキの頃は単純に金髪碧眼のイリヤを可愛いーと思ってたけど、今見たら、ソロの方がいいオトコ」 なんて安易に最初は思ってたけど、気が付いたら、はい、イリヤもしっかり目で追ってしまってます。

これは・・・可愛いわ。 あり得ないほどに。 
『クールなイリヤ』という、説明をよく見かけるけど、ちょっと語弊があるような?
モノクロS1では思いっ切り異邦人。(イリヤは冷戦下のロシア人) 身も蓋もない、物言いはクールだからなのだか、言葉のハンディなのだか。 まどろっこしい言い回しで辛辣なクチをきいてるのが、何気に可愛い。(イリヤ演じるDavid McCallumはイギリス人なので、ネイティヴ。異邦人仕様にしてるだけ)

仏頂面で登場するものの、小柄なイリヤが、ソロを見る視線はいつもやや上目づかいになる。なんか甘えてるみたい。 そしてこの異邦人は笑うとすっごくかわいい上に、はにかみ笑いのような視線の先は、いつもソロである。 まるでわんこちゃん。
お友達がいたの?
David McCallumのファンサイトから拝借

女に流されやすいナポレオン・ソロを軌道修正すべく、鈍感そのまま、平気で割込むその姿は、クールに任務遂行というより、お兄ちゃんの恋路をジャマする、ティーンエイジの妹ちゃんのよう。 小姑ですねぇ。

イリヤって、おんなのこキャラだったのか・・・。

イリヤがNapoleon と呼ぶ発声は舌っ足らず感があり、甘ったるく聞こえる。
そもそも、このスパイもんのドラマの中で、ナポレオン・ソロはいつもMr. Soloと呼ばれ、ナポレオンと呼ぶのは女性陣の他にイリヤだけ。(逆も然り。イリヤ、イリヤと呼びつけるのもナポレオンの特権みたい)
このNapoleonという、やや長めの名前の音が甘ったるい響きになるのかしら? Napoleonと言う名前の人に遭遇したことって、ない。 なので、よくわからないけど。

かわいい。あまりにも可愛すぎて、ちょっと居心地が・・・。

なんか、REXに出てくるGedeon Burkhard の艶然と微笑む姿に、麗しすぎて、カッコイイとか思うより先に、「おにーさん、なんか違ってません?」と退いてしまう感覚と似ているわ。

でもね、結局のところ、この二人がとってもうらやましいのです。 なんて素敵なカップル(違うか・・・)

こんなに素敵なナポレオン・ソロ(カッコ良すぎてクラクラしてしまう)に「イリヤ、イリヤ」と始終構われているイリヤがうらやましいし、かわいいイリヤにずっと目で追われているソロもうらやましい。
イリヤって口悪くても、きっちり状況把握して、ソロをサポートしてるし。

昔に見てたときの、自分の未成熟さがうらめしい気分。 
夜中に電気消した後こっそり見てた私は、『ポーの一族』を筆頭に少女漫画に没頭する現実逃避少女。 
もれなく男嫌いでもあったので、ナポレオン・ソロのことは黒髪の背広のオジサンくらいにしか記憶してなかったの。 
つくづくもったいないわー。

録画が全部とれてないし、昔見ていたはずの日本語吹替えだって一度くらいは観てみたい。 
と思って、Complete Set アマゾンで注文してしまいました。 2週間ほどで来るけど、100話以上あるのにどうしよー。 
でもたぶん、張り付い観てしまうと思います。 いえ、絶対に・・・。




2012年10月8日月曜日

裏切りのサーカス Tinker, Tailor, Soldier, Spy

8月末のレディースデー、昼間観に行ってきました。(結局DVDを観る前に映画館へ)
映画は古巣で書こう(追記2016.09.14:古巣のレビューはこちら)と思っていたのに、映画登録が何故かできない。3回ほどトライしてgive up.
…あそこのサーバーがイマイチなのは昔からだけどぐったり。 なので、こっちに書きます。

大スクリーンで観に行って良かったわ♪ 
帰宅してからDVDでも観てみたけど、やはり映画仕様のモノは多少大きめの液晶でも画面が思いっきり暗くなるのね。
迫力の差だけでなく、大スクリーンの方が観なくていいものまでも、はっきり見えてしまうのがよくわかりました。 
あ、でもせっかくの演出だから見えなきゃ意味ないわよね、飛び散る脳漿とかも(-_-メ)

個人の期待度が高過ぎたのか、ちょっと思ったほどじゃなかった…感はあるけど、それでもDVDで見直すくらいには面白かったです。

ゲイリー・オールドマン、老けましたねぇ・・・ 

ホント老兵って感じで。 最後に復職(どころか大出世)するのだけど、大丈夫かしらと思ってしまいました。 
こんなに年いってたんだっけ? と思うくらいの老人ぶりです。
続きがいかにもありそうな終わり方だけど(制作されるんですよね?)、若人に席は譲った方がいいのでは?とか不謹慎なことを考えてしまいました。

ゲーリー・オールドマン初対面の記憶は『ローゼンクランツとギルデシュターンは死んだ』という、トム・ストッパード作のハムレットの番外編コメディ。
ティム・ロスと一緒に出てましたよ。 あれっていったい何年前の映画なんだろう? と思ったら1990年。 
20数年前なのかぁ・・・。 レオンとかでブレイクする(したっけ?)ホンのちょっと前だったのね。
レオンの悪徳刑事とか、エア・フォースワンのロシアのテロリスト、いっちゃってる人や、いやぁ~なヤツを演ったら、天下一品。 でも情けない男役も結構観たなぁ。
芸幅は広い怪優だとは思っていたけど、余りにも老人に成り切っちゃっていて・・・。

DVDおまけで付いていた、Deleted Cut。 スマイリーがフラットで料理をしている長まわしのワン・ショット。 
これはそもそもなぜ脚本にあったのでしょう? スマイリーの老人ぶりを強調するため?
でも、この無意味なカットされたシーンに、涙流して笑ってしまいました。(真面目な意図があったのだったら申し訳ないけど)

ラジオから流れる音楽は70年代のヘヴィメタ(何故?)。 スマイリーは花柄のエプロン(!)をつけ、フライパンを火にかけ(これが電磁クッカーなので、温まるまでに時間がかかる)待つ間に窓の外を眺め、鳥(カラス?)の声を聞き、フライパンが温まったのを確認すると、卵を一つ割って、目玉焼き。 
目玉焼きが焼けるまでにまた時間がかかるのだけど、ひたすら待つ。出来上がった目玉焼きを無器用そうに皿にのせ、塩をかけて食す。 お皿とカトラリーのあたる音が静かに響く・・・というシーン。
これが数分間のワンショット。 あまりにもしょぼいゲイリー・オールドマンとミスマッチの花柄のエプロン。 
笑っていいシーンだったのかは不明だけど・・・息切らして笑ってしまいました。ごめんねー。

キャメルのコート姿のコリン・ファースがとってもカッコ良かったけど、最後にはがっくり。 
犯人がわかるまでの間に、もうちょっと捻りが欲しかった気がする。 だって盗聴されてるロシア語の声の主が誰かよく判らないうちに、犯人が明かされてしまうんだもの。 
トレイラーに出てくる『西側は醜くなった』ってシーン、これ、宣伝で使っちゃだめよぉ~。 カンのいい人だったら気付いてしまいます。 私は後で見て、なぁんだ、ヒント出してあったんだ~と思ったクチですが。

ところで、『暗号名はモグラ』って書いてる字幕をみた気がするのですが、Moleってコードネームじゃないよね? 
こういう敵方から潜伏してる裏切り者のことって、普通にMole(もぐら)とかRat(ねずみ)とか呼びませんか?

ベネさん演じるギラムが『明らかにゲイ』とまでは思いませんでした。 どこをどう見たら、『明らかにゲイ』なのだろう? 
熟読は放棄したままの、Sight&Sound のあの記事はなんだったのかしら?

スマイリーに忠実で、スマイリーの浮沈に誰よりも一喜一憂し、復活を一番喜んでいる男なのは確かだけど。 スマイリーの不遇にホントに悔しそうな顔をする、顔を歪めて・・・。 その表情が恐すぎて、ちょっと引いてしまいました。

『つぐない(Atonement)』なんて、映画には思いっきり涙したけど、べネさん、余りにもイヤな男で(ロリコンの変態)、その上、べネさん関わるところの話の展開が、怒髪天の吐き気ものだったから、記憶から抹殺してしまってましたよ、シャーロックで認識するまで。
やっぱり黒髪シャーロックのべネさんが一番好きだな。 かわいいし、ね。