そろそろアンチ米国返上しようかと思いました。
なんとなく気になっていたTrue Detective、ツタヤで1-2話を借りて、もうDVD買うことにしました。(だって英アマとかツタヤで借り続けるより安いんだもん、特典もついてるし、所有してれば何度でも観れる)
ってくらいトゥルー・ディテクティブ気に入りました。好きになったものはリピート観が常の私。ほんの数日前にナイトマネジャーよかったーーー!と騒いだ舌の根も乾かぬうちに別作に騒ぎ立てて節操ないけど、でも、それくらいこれも素敵だったの!
ウディ・ハレルソンとマシュー・マコノヒーのコンビ。
そこそこにいいい俳優さんだと思っているけど、彼らが出てるからという理由で映画とか観に行くほどの気になったことはない。普段の私なら歯牙にかけないアメリカーンな俳優さんたち。今世紀になってからの映画で彼らが出てるのを観たのは昨年のインターステラーくらい。(しかも早稲田松竹二本立て鑑賞)
いや、でも今回このトゥルー・ディテクティブの1-2話観たため思わず、『追憶の森』は早々に鑑賞済み。
前置きはおいて本題に入ろう。
けだるいオープニングのテーマソングに始まり、ハゲたおっさんと、浮浪者と見まごう容貌の世捨て人の事情聴収。このふたりは別々に事情聴収されており、彼らの話が回想シーンのように17年前から始まる。
この進行、振り回されます。途中で、なんで彼らは今こんな状況でこーなってしまってるの??と先が待ち遠しくってたまらなくなります。(こーいうの私週イチでなんて絶対見れません。暴れてしまいます)
親を選べないのと同じで同僚だって選べないだろう・・・とコンビを組むことになったのはたまたまと説明するマーティ(マーティン・ハート byウディ・ハレルソン)話題になっている相棒はマーティが勝手にタックスマンと呼んでいた不愛想なとっつけない男、ラスト(ラスティン・コールbyマシュー・マコノヒー) このふたりは共通点皆無。正反対とまでは言わないが全然似たタイプでもない。
いい奴だけど、オトコはアホだからさぁ・・・の典型のようなマーティ。
何を潜り抜けてきたんだか、無表情に仕事一徹のラスト。幼い娘に死なれ結婚は破綻。薬におぼれたこともあり、麻薬潜入捜査に何年も従事してきた。とっつけない奴なのに落としの天才。容疑者を静かにじっと見つめ、ゆっくりと話す…それで皆涙ながらに許しを請い、自白してしまう。人の心を見透かしているかのような様子にマーティは文句垂れつつ、一目を置き、信頼しきっている。
このふたりが田舎町の猟奇殺人事件の捜査に従事するのですが、ラストの粘り強さで実はすでに闇に葬られてた事件まで関連していることが暴かれていきます。
このコンビ、フツーに背広きた田舎の刑事さんの様相。ですがこのふたりがめちゃくちゃ素敵に見えてきます。もう、詳細はよそう。ツタヤでだって借りれる、日本版BDだってもう明日には発売されるからぜひ見てください。
脚本を書いたのがあのデンマークの陰鬱ドラマ、キリングも数話書いたニック・ピゾラットNic Pizzolatto キリングは老後リストに入れてしまったけど、何かストンと来るものがあった。そして彼はおじいちゃま、ロバートヴォーンの代表作『荒野の7人』のリメイク(2017年公開予定)の脚本も手掛けています。
ストーリー展開の良さもですが、私はやはり人間が好き!役者さんに惹きつけられる作品にハマるのです。そしてむごたらしい猟奇事件に反比例するような田舎の美しい景色に映像。
その映像のカメラワークのおかげなのか、二人の役者のなせる業なのか。驚いたのはマーティの目を通してみるラストがめちゃくちゃセクシーに見えること。私がマシュー・マコノヒーをセクシーだと思う日があることなど、まーったく思いもよらなかった。
お互い相手に向けて中指突きだし合うこのふたり。なぜか不思議な雰囲気を醸し出しているのです。無表情なややうつろにもなる目。残虐な事件の犯人を追うことだけ考えているラスト。
ウディ・ハレルソン、実は共演者を輝かす天才だと私は昔思っていました。(こんなこと書いてた!)
ナチュラルボーンキラーズ、ラリーフリント、共演したジュリエット・ルイスやコートニー・ラヴがとにかく素晴らしかった。もちろんウディ自身の熱演も素晴らしかったけど、それ以上に女優陣が素晴らしく、彼女たちの最高傑作のような感じになっている(私が見た中ではね)そしてそこにはウディ・ハレルソンの見えない力が加わっているような気がしたものです。
なぜかぞくっとしたシルエット |
そのウディ魔力が今回相方であるマシュー・マコノヒーをより輝かせてるような気がしました。そう、マーティの視線らしいラストが不思議にセクシーでエロティック。
自分が留守中に芝刈り機を返しに来たラストに焦るマーティ。人の心を読んじゃうラストは早々においとましようとする。追いかけて半べそのような赤い顔で理不尽に怒っているマーティ。、マーティはこの無愛想な偏屈男をとても魅力的だと思っている。だから留守中に妻のそばに来られるのは心穏やかでない。
浮気がばれて妻が実家に帰っている間、マーティが頼るのはラストの見立て。何か月かしたら許してもらえるのではをいう言葉を信じて頼るマーティ。ラストの不思議な眼力を信頼しきっている。
ラストにしてもマーティへの信頼は絶対。アホな奴でも善人、正義感は本物。
容疑者確保、手錠までかけてあったのに、アジトでむごたらしい暴行を受けた子供たちを発見して怒りで犯人の頭を拳銃でぶっ飛ばしてしまうマーティ。刑事としては浅はかな行為だが、その正義感は本物で正しい反応。だからラストはもう一人の容疑者も銃殺して死んだ犯人の手錠は外し、銃撃戦でやむなく犯人射殺を偽装する。ここで一見落着にしてしまったが実はそうでなかったことからラストの孤独な捜査が続く。そして孤独な捜査の光が見えてきたとき、タッグを組む相手はマーティしかいなかった。
ラストとけんか別れした後、離婚して警察もやめ、事業を起こしてはいるものの、覇気のない生活を送っていたマーティ。最初の事件から17年が経っていたその時、ラストに巻き込まれ引っ張りまわされるマーティの活き活きとした目。そう、前半ではフツーのおっさんの様相だったウディハレルソン。終盤、目つきがガラッと変わる。昔から見慣れた鋭い目。昔オリバー・ストーン監督が狂気が見えるなんてクサイことを言ったあの目つきに戻っているの。禿げていようが何だろうがカッコいいあの鋭い目。
最後はもう、長年の過酷な生活の上に負傷してぼろぼろのラストの世話をする気になっているらしいマーティがおかしい。やはりいい奴。
すでに一撃食らっていたマーティに斧を振り下ろそうとしている犯人をラストが間一髪で射殺したおかげでマーティは生きている。ラストの方が重傷だったので、マーティは先に退院することになる。車椅子で外に出てきたラストにリボンのついた小箱を渡すマーティ。
「なんだ、おれと婚約でもしようってのか?」
「だったらもっと立派なリボンつけるよ」
笑いました。↑ 中身はラストの好きなタバコ。
一足先に退院できるマーティに「俺もこんなところにいられるか」と車椅子から起き上がるので、マーティがまだよろめくラストに肩を貸し、抱きかかえるように二人で病院をあとにします。
なぜか、ナチュラルボーンキラーの最後のシーン、語り部のビデオ撮影、肩をを抱き合い手を取り合って逃走するミッキーとマロリーを思い出しました。
そしてもう一つトゥルー・ディテクティブの素晴らしいところはサントラです。オープニングもエンディングもこのけだるさが素敵。挿入曲といい、BGMのようなノイズが素晴らしく私のツボなのです。これも魅了される一因なのかもしれません。(これ追加しちゃいます。⇓ 御耳を拝借)
おまけに、我が教祖様ニックケイヴのお声も一曲入ってているのです。最後の最後にフィナーレのように流れたこの曲! もう躍り上がらんばかりに絶叫!
ユーチューブのサントラ特集の25曲目、GrindermanのHoney Beeです。こういうのに巡り合えるととても幸せな気持ちになれるの(単純ですねぇ)
教祖様ライブ曲バージョンもあげておきます。
カッコいいでしょ、これ。昔はただの変人枠、でも今教祖様ニック・ケイヴのファンでよかった…とあらためて噛みしめています。
この曲を選んでくれたディレクター(なぜかお名前だけは日系)本当にありがとう。
追記:2016.05.19
ミュージックリスト見つけました。
欲望のバージニアで数曲かかっていたEmmylou Harrisの別曲が使われてました。
どうりで私好みのはず。欲望のバージニアはサントラも速攻で買ってしまってたし。
そう、なんとなくヒルコート監督とトーンが似ているところあるかも
更新されていませんが、もしや閉鎖ですか?
返信削除Asteroid Cowboy さん!
削除あははは〜!いらっしゃいませ!いえいえ、そういうつもりではなく、ちょっと私生活の方がバタバタと。(笑)すみません、怪しげで。
今週は書きますよぉー。執筆のムシもうずうずと。
ほら、一応フルタイムの勤労兼業主婦ですもん。しかもコブ付き。コブが進級したので何かと忙しくなり。
ご心配かけてすみません。
お忙しくて何よりです。体調をひどく崩されたのかなと思いました。
返信削除Asteroid Cowboyさん!
削除再度のお立ち寄りありがとうございます!すみませんご心配をかけさせてしまって。(汗)
確かに…・気づけば3週間近く放置しておりました。
昔は月単位放置もあったので・・・全く気にかけず…いけませんねぇ。
ホント気にかけていただきありがとうございますー。