2013年3月4日月曜日

Sapphire and Steel  DV男に惹かれるワケ

いいトシしたおばさんの私がどっぷりハマっているのは例外として省いても、
このドラマ、お子様向けにはコワイだけでなく、ハナシ難し過ぎない?と思って来た。

いや、あきらかに難しいと思う。 映倫OKだったの?とおもうような、グロテスクなシーンが挿入されてたりもするし。 
そしてリピート見の度に新たに気づくこと多く、また別のお話のようにも思え、見え方が変わってくる。

サファイア(左) ジョアナ・ラムリー(Joanna Lumley)
スティール(右)  デヴィッド・マッカラム(David McCallum)


・ 仕事一徹
・ 命令口調
・ 人の話をきかない
・ 人が話していても、自分の言いたいことを先にいう
・ 威圧的
・ 声を荒げる

これが、スティールである。 


こういうおじさん、昔なら職場とかにもいただろうな。 昭和の時代なら・・・。
パワハラなんて言葉のある今の時代、こんなヒト、ガラパゴス日本でも減少していると思う。
なんでまた、英国ドラマの主人公の地球外生命体がこんな昭和のおじさんなのだろうと思ったわ。
確かに1979ー1982年は昭和の時代ではあるけれど。

クール(?)なところは、あのイリヤとも通じる気もするけど、スティールは情緒欠陥気味どころか、情緒欠落(地球人基準)、
クールってよりも、非情。 デリカシーのかけらもない。

感知能力のないスティールは毎度サファイアに分析をさせるのだけど、そのせっかちないい方のエラソーなこと! 
見てて腹が立つのよ。 お嬢さんをこき使うんじゃないよ!無礼すぎるわ!
サファイアは実用的な能力持ってる。感覚鋭いから色々感知するし、読み取るし、何しろ、多少の時間の巻き戻しなんて芸当もできる。一方スティールは絶対零度以下に体温下げるフリーザーで磁力持ち、馬鹿力が特殊技能。鍵とかはサファイアが構造読みとってスティールが磁力で開けてたりする。テレパシー以外、魔法のようなエスパー的なものは特にない。スティールのやることは結構力任せでアナログ的に泥くさい。機械ものいじりまわしてたり、トンカン金槌叩いていたり。
命令中のスティール
愛を囁いているわけではない

ところが・・・

この無骨な男が、思わぬところで、love とか人間らしい言葉を口にすると、
いまのナニ?と思うほど、とてもセンシュアルに響くから不思議なの。
なんなのだろう、この感触。 
こんなことが言えるのか(考えてたのか)っていう意外性にしても、
それだけでこのエラソーなおじさんは魅力的に見え、許せてしまう気に確かになる。

ふと思ったのよ。 DV男とかから離れられない人って、こんな感じの
陶酔感のループに陥ってしまってるのかな・・・と。


Asst 2. 廃墟の駅の話は全6話の中で一番怖い。自分たちの経験を追体験させようとする霊たちに皆取り付かれるわ、霊と交信をしようとしていたタリー氏(居合わせた普通のおじさん)も一緒に手をつないでコックリさんよろしく霊を呼び出し、サファイアはイタコになる。 イタコのサファイア自体とても怖い。(さすが女優!がらりと人が違うの!)
この話は完全にホラー。 画面もとにかく暗いし、恐いのです。

そんな・・・!と思う最後とともに、いいようなく、怖いのだけれど、同時にこの話は一番ビジュアル的になぜか官能的。このAsstだけでなく、恐い(またはグロテスクな)のに限って密かに官能的に感じられるシーンも挿入されてているのは意図的なのかしら?

その名の通り鋼鉄っぽいスティール。
この無愛想で武骨な男がニコリともしないのに、ちょっとでも人間的に振舞うとそれだけでくらくら感。 例えばサファイアの手にキスしたり、そんなものラブシーンですらないけど、ものすごくセンシュアルに見える。

最初はスティールの発声する “love”  という言葉の不思議とセンシュアルな響きに惹かれただけだけど、数回見ているうちに、その前後も含めて何だかものすごく美しいセリフに感じて・・・。 
これはスティール演じるデヴィッド・マッカラムのなせるわざなのかしら? イリヤもそうだった。 異邦人仕様で、やや独特の話し方をするイリヤの発声する特定の言葉が異常にかわいらしく聞こえ、反応してた私。 声が素敵と感じたことはないのに特定の言葉の発声(発音?)にノックアウトされてしまう。

If you are the Sapphire that I have grown to know and to love...この言葉の響きがとても官能的。

この二人が恋人なのかと言うのも判りづらい。人間の恋人関係と言うのがこの謎の生命体の彼らに当てはまるのかも謎。
だけど美しくって・・・。

その前にスティールの言葉もとても意外なのだ。即物的な感知能力しかないスティールは眼前に見えるものだけで判断する。 (霊感は欠落。人間より鈍い)
スティールがサファイアに言うの。
「俺たちはお互いをよく知ってる。お互い考えることが判る。だから何も聞く必要はない。それで今までうまくやってきた。」
「なのに、頭の中で、答えを求めて、俺を責めている疑問がある。俺の頭の中で答えを求めて叫んでいるんだ。」
”Even though there's one particular question that keeps nagging inside the head. Like the one that's inside my head right now; the one that's crying out for an answer.”

この男が頭の中で(普通は心、heartだよ、head でなく)、本能的な感情に発する(naggingもcryingも)疑問に悶悶としているなんて、それだけで意外で素敵に見える。 このシーンは全編の中で一番好き。

(勝手にきめた)スティールDV男説の根拠例をもう一つ。 

Asst 5で、サファイアが関係者の背景を分析、してスティールに説明している。 カップルの女の方は本気で男を愛しているのだけど(in love)、男の方はそうでなく、女を利用しているだけ、と。

その後、「何か違うのか?」と尋ねるスティールに「この星(地球)では違うのよ」と答えるサファイア。

愛している=利用する   うーん、いかにもDV男の理屈だなぁ。

スティールがサファイアをこき使うのは愛しているからなのかと納得(したことにしよう)。
だからサファイアは偉そうに言いたいことだけ命令して次へ行くスティールのうしろ姿に微笑んでいるわけ? 
暴言としか思えないような、スティールのもの言いも立派な愛情表現なのかしら? 
私のようなリアクター型だと、つかみ合いの喧嘩にくらい、発展させてしまいそうな程カンジ悪いのに。

もうひとつ、このドラマでは、スティールにおける、DV男の魅惑のループの発見以外に驚きがあるのです。

それは、すでにアラフィフであろう、デヴィッド・マッカラムのフォトジェニックさが健在なこと。(まさか期待してなかった!)

娘は「あーっ!ふとったイリヤだ!」と身も蓋もない言いようだったけど、(注:決して太ってない。年齢相応にガッチリしただけ) 相変わらず、何かの拍子に、わっ!なに?と思わずあとずさってしまうほど、美しく映るのです、この人は。

Asst.2 後半で、鉄条網に絡まって動けない、スティールが何気にエロティックで美しい。ゾクゾクするほどきれい。 
鉄条網~魔法(呪い?)が解けたら蜘蛛の巣なのだけど、ここでの一連のスティールのショットはとにかく美しいのです! 

やたら白い肌に(うでひじ先程度、大した露出では全然ない)うつろな目してたり、目を閉じていたり、どのショットも幻想的に素敵。カメラの角度(?)によっての反射か、唇がミョーに紅かったり。 幽霊が消え、朝になり、目をあける時の、接写で映る青い眼のきれいなこと! あいかわらず睫毛の影もきれい。

DVDにはおまけのフォトギャラリーにもこの 一連のシーンのショットもいくつかあって、モノクロバージョンまである。 これはもう絶品。 DVD買ってよかったー!
これなら、脱カモ緊縮自制中の暴挙(野放図にDVD買うこと)も自分で許せるわ!

なんてきれいーと、うっとり見ていて、ふとこれがアラフィフのおじさんなのだと思うと、すごすぎます。
この人はきっと老化因子みたいなのがヒトより少ないのでしょうね。
ポーセリン肌はさすがに今や…だけど、それでも若い!(たまにNCISみても思う。70代には全然見えないんじゃない?) 

あっぱれです、デヴィッド・マッカラム。 

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