2011年9月20日火曜日

若気の至りだったはずが・・・ノイバウテン

ブリクサ(Blixa Bargeld)への回帰が始まって数日。
ANBB  Minikryもとても気に入った。 たぶん、ノイバウテン(Einstuerzende Neubauten)初来日で見に行ったような、
昔からのファンの人には、30年近くを経たブリクサとしてすとんと受け入れられる音だと思う。 初期を彷彿とさせるノイズも有りながら、成熟してそして美しい。 電子音がちょっとDead Can Danceを思い出させるかな。 
どちらも泣けてくるほど美しい音よね。

そして、私は一体どうしちゃったんだろう??

懐かしいノイバウテンも一緒に聴きなおしてみるだけの気持だったのが・・・。

奥に追いやっていた記憶が戻ってきて、患者O.Tと半分人間 だけじゃ納まらなくなった。 
記憶にある、ブリクサの声を探す。 馬のジャケットのレコードあたりで、すれ違いを感じてフェイドアウトに向かったはず。
持っていたレコードは2枚だったと・・・。でも、記憶にある音が揃わないのだ。
調べたら、もう一つあった。 Kollaps というのが。こっちの方が古い? そして、これだった! 私が初めて聞いたのは。 
そう! この音! Negativ Neinもある。 でも、Schwarzが見つからない。 どこよ?

記憶って以外とあてにならない。患者O.T.からしか覚えてないなんて。

そして、20年近く前に『若気の至り』と結論付けて、クローズ(卒業?)したはずのノイバウテン初期3枚程にまた、
どっぷり浸かっている。 何気ない鐘(とは別の物体かもしれないが)の音や、Armeniaを聴くと涙が出てくる。 

破壊音の合間にとても美しい。 この音、ノイバウテンだったんだ。 しみじみと懐かしい。そしてなんて美しいのだろう。

でもこの感覚ってヤバいよね? いわゆるバタードの人(被虐待者)が相手にちょっと普通に優しくされるのを過大評価
してしまうのと同じ傾向? コントラストがより引き立てて…とでも言えばまるく収まるのだけど。 

Armeniaのイントロのメロディの部分を、私はずっと、勝手にLegendary Pink Dotsだったと脳内変換していた。
なぜ? そしてLegendary Pink Dotsが好きだったのはノイバウテンの延長だったのだと初めて気がついた。

とことん、自分の記憶を確かめたくなって、半分人間のDVDも購入。
・・・・ 人間以外の有機物質はちょっと受け入れ難い。 私はこの手のグロだけは遠慮する。 蟲系はダメ。 

でも、無機質なガラクタをメンバー紹介とともにカタログよろしくつけてある仕様にガク然。 
金属材質、規格・・・ すっかり忘れていたけど、私はそんな昔から、こんなものを見ていたの?

このガラクタ扱いの無機物質は、今の私にはすべてなじみ深いものである。 
何の因果か、はずみで工業製品にどっぷりつかるはめに・・・と思っていたのだけど、この色気のない、無機物質と
共に歩く道は、ただのはずみじゃなかった。 意外とノイバウテンが発端?  

2回目の来日公演(91年頃?)は初回と比べてはるかに穏やかなものであった。場所も普通のホール(大阪)だったし、
客層もかつてと大きく違っていた。 その時に、彼らは新作アルバム曲でなく、昔からの曲を、控え目な別アレンジで
演奏したのである。新規ファンらしい人が帰りに「知らない曲ばかりだったね」と話してるのを聞いた。 
私にはなじみの曲ばかりだったが、ノイズがトーンダウンしたことが不満だった。 このころすでにブリクサも髪の
ツンツン逆立ては控えめに、黒革でなく、シックなスーツで登場するようになっていた。

昔はネットもなかったので、今検索ですぐ見れるような、30年近く前のノイバウテンの写真ですら、当時は知らなかった。
レコードジャケットにのってる分くらい(ほとんどモノクロ)。 ブリクサの目が真っ青だということも初来日公演前に
認識なかったかもしれない。 痩せた背の高い人ということくらい。

ブリクサは意外と、破壊音の割には全く恐怖感を煽られない人であった。 胎児のよう…と思ったくらいだもんね。 
皮膚の薄そうな、ひりひりとしてくる、毛布かなんかでくるんで保護してあげなきゃいけないような感じ。 
冷静に思いだしてみると、不思議な体験。不思議な感覚。 あの破壊音とセットで、ダークで過激な出で立ちで、
ヒトと思えないような声を発して、あのはかなげ感?(ちょっと語弊ありかな)。 
もみくちゃにされて立っているのがやっとの状態で見て感じたこと。
でもあのひりひりした感触は初来日の時だけ。 なんかギュンターグラスのブリキの太鼓と似た感覚だったかも。

逆にニック・ケイヴなんて、どこか教祖様的で、(ステージ上で)目前うろうろされると、恐れ多くて何気に緊張した。 
きゃぁー♡ って感じじゃないんだよね、恐くて。 バースディ・パーティの頃から、狂人枠をはるかに超えた狂人イメージ。

教祖様にスカウトされたブリクサって90年前半頃まで、職人らしく実直に役割を果たしてますって感じだった。 
この人絶対真面目なA型人間だろうな・・・みたいな。(実際はどうか知らないが) 
ブリクサひとりでかなりBad Seedsのビジュアルレベルを上げたし、色々貢献度高かったよね。
それでも教祖様の存在感には負けてた気がする。(いや出しゃばらなかっただけかも)

その後、全体的に音楽とか追っかけなくなって、すっかりご無沙汰してしまっていたけど、
Youtubeがすべて埋め合わせてくれるのね、今の時代は。

今改めて見ると、ブリクサって長身だし、脚は恐ろしく長いわ、少女漫画のキャラ実写にしたみたいな、にーさんだね。
それを目前に胎児なんて考えてた冷めた少女の自分に頭痛が・・・。
DANDYのショートフィルムとしての出来はけちょんけちょんだが、若いブリクサは文句なしにカッコいい。 
アカペラで歌ってる姿はほんと見惚れる。


 Youtubeじゃなくってどっか通しで入手できないかなぁ。

ニック・ケイヴも似たような 長身、長い脚。でも、なぜか少女漫画系には全く見えないところがww。 
やっぱ教祖様はこわい…よくあんなにコンサート行ったなぁ。 From Her to Eternityはすごく好きだったけど。 
教祖様は声がとても野太いので(低いなんてもんじゃない)、あのくらいに音も激しくないと合わない気がする。
メロディアスな歌が全然に合わない声…だと思っている。(なにげに演歌調に聞こえちゃうし)

9月30日がANBBが終わったら、熱を冷まして通常生活に戻ろう。

さらに30年後くらいにばーさんになった自分がこの音を聞いて、どう思いだすのか、興味がある。
『若気の至り』と思うのか、やっぱ懐かしんで涙してるのか。(笑)

ブリクサ+ノイバウテン関連記事はこちら Einstuerzende Neubauten

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