2011年10月3日月曜日

Die Totale Therapie  ブリクサ(Blixa Bargeld) 出演作品 初見感想

うううっ・・・。 
見なきゃよかったかも・・・。 スリラーどころか、もう、ホラー映画の領域である。
ちなみにこの映画はドイツではなく、オーストリア映画であった。(1997年の作品らしい) 
マカヴェイエフとかにも共通する中欧独特と思われる、狂気がしっかりと含まれていて、恐かったよ~。 
おまけにマカヴェイエフのように笑っていいんだか悪いんだか…のような居心地の悪さどころか、思わず、
こっちが逃げだしたくなるような、ストレートに恐ろしい光景が何気に大げさでもなく、平然と流されるのだ。 
何度、「ひっ」と息を飲んだことか(特に後半)。

もうちょっと若いころなら、このくらいへっちゃらだったかもしれないが、もう限界である。
最後にはほぼ「そして誰もいなくなった」状態なのだが、いや、人がまるで、蠅たたきで叩かれるハエのようにあっさりと
殺され、息絶える。 このペース、今、別途見ているThe  Shadow Line というBBCドラマの殺害ショットに匹敵する。 
The Shadow Lineは2011年のドラマ。 ある意味、ミステリーとして、非情さを息を飲むほど効果的に演出してるなぁ…と
感心していたのだけど、先人が前世紀中にいたのか…。 いや、無関係だよね。
The Shadow Line は殺人者の冷徹非情さの効果的な演出であり、Die Totale Therapieは狂気の直球攻撃?

何しろ、あのブリクサ演じる怪しいセラピスト、ロマン・ロメロ博士 Dr. Roman Romero(マンガみたいな名前)が、
最後まで見てみれば、唯一正気で普通の人間だったかのように見える映画だ。

ブリクサはおそらく40歳くらいの頃? 普通にイイ男である。スピーチの声がとてもいい。
患者として集まってくる集団が、一見普通に悩みのある人々にしか見えない。(遊びに来てるのかみたいな参加者も)
これが実は半端じゃない闇を抱えた狂人が大半。 それも博士の死後、殺しあいが始まってやっと判明してくる。

博士死亡までは薄気味悪い、カルト集団の意味不明、見たくもない修行の様相であるが、後半はペースも恐ろしさも
倍増どころではないのだ。

そして中欧出身の監督の映画によく見られる(気がするのだが) なぞの登場人物。 
ストーリーのカギにでもなるのか、ただの通行人なのか、不明なまま画面に現れ(セリフひとつなく、
風景に溶け込んでいる)、最後まで何だったのかわからないまま終わる登場人物。
ストーリーとは無関係そうなのだが、これが、もういいようもなく気味悪かった。
ちなみにこの謎の人物はDVDカバーになっている。なので、謎の・・・でなく、実は重要人物かもしれず、
何か見落としたのか、もう一度見て確認したい気もあるのだが、2時間余りのこの映画、このホラー度でもう一度見るのは、
かなり気合を入れないとムリだ。 いや、いくつか、あれは何だったのか・・・と字幕英語のまずさだけでなく、
見落としがあるようで、見直さなきゃ落ち着かないのもあるのだ。 (字幕のまずさは古今東西同じのようである)

エンディングの恐怖感ったら、ありゃしない。 映画館の大画面なんかで見た日には、もう、数日眠れなくなりそうだ。

ここまで、そら恐ろしい狂気を、まるでとある一週間のように描いている映画として、完成度は高いと思う。
良くできた映画なのだ。 ただ、恐すぎる。うなされそう。

そして、あのブリクサに、狂人でなく(いや、狂人かもしれないが)カルトチックとはいえ、かなりフツーな、
セラピストを演じさせ、その他一見フツーそうな人が皆狂人…という、監督の演出采配にひれ伏すしかない気持である。

もう一回きちんと見てから、ちゃんとあらすじも書きとめよう。(本邦公開なぞあり得なさそうな映画だしね)

あぁ、恐かった・・・・・。 寿命が縮んだ気がする。 今日は早く寝よう。




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